Huaweiの端末を新しく買うとして、一番悩むのはGMSについてだと思います。
Googleのサービスを使うことはできないので、Androidとしての機能が制限されます。
もちろん、Huaweiも対応策は用意してくれているので、どの程度ものになっているか検証してみます。
まずは、AppGalleryの状況と、Androidの人気アプリについて実際に使って確認しました。
(多くのサイトで「Googleなくても大丈夫」という論調ですよね。けれども、本当に使っている人が書いたと思えないケースが多く、実際に自分で試してみました)
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AppGalleryとは?
AppGallery ≒ Google Play Storeだ!
アメリカの制裁でGoogle のサービスが使えないので、Huaweiも代替手段を出しています。
GMS(Google Mobile Service)をHMS(Huawei Mobile Services)で、GP(Google Play Store)をAppGalleryで置き換えています。
(実は、元々中国国内ではGMS&GPのどちらも使えないので、HMS&AppGalleryが使われていました)
GMSでは、Gmail・Google Map・Chromeなどのプリインアプリがあります。
GPでは、Lineを筆頭にGoogle社以外のアプリをダウンロードできるようになっています。
AppGalleryにあるアプリ一覧
Huaweiの説明だと、4億ユーザー×140万人以上のアプリ開発者がAppGalleryにいるんだとか。
そのように聞くとGoogle Play ストアの代わりになるような気もしますが、実際はどうでしょうか?
Mate Pad Pro を使って、アプリの対応状況をGoogle Play ストアと比較して、表にしてみました。
AppGalleryになければ×で、Huawei苦肉の策の”高速アプリ”で対応なら▲で書いています。
また、各サービスの公式サイトからAPKファイルをダウンロードするタイプは△としました。
ブラウザ系
Google Chrome | × | (米国・Google) |
Firefox | × | (米国・Mozilla Foundation) |
Microsoft Edge | × | (米国・Microsoft) |
Kiwi Browser | ○ | (米国・XDA Developers) |
Opera Touch |
○ | (ノルウェー・中国奇虎360社) |
Opera Mini | ○ | (ノルウェー・中国奇虎360社) |
UC Browser | ○ | (中国・アリババグループ) |
Via | × | (中国・Tu Yafeng氏) |
Yahoo!ブラウザー | × | (日本・Softbankグループ) |
Smooz Browser | × | (日本・Astool Inc.) |
Sleipnir Mobile | × | (日本・Fenrir Inc.) |
”Kiwi Browser”が使えるのが意外でしたが、概ね中国企業のブラウザしか使えません。
PCと同じブラウザでないと、ブックマーク・履歴などを同期できないのが地味に不便です。
デフォルトで入っているHuawei標準の”ブラウザ”か、Kiwi Browserを使うことになりそう。
2020年12月27日追記:Smooz Browserは、閲覧情報の外部送信が問題となりサービス終了。
SNS・メッセージアプリ・WEB会議アプリ
Google ハングアウト | × | (米国・Google) |
Google Meet | × | (米国・Google) |
Line | ○ | (日本・Softbankグループ) |
Rakuten Viber | ○ | (イスラエル・楽天子会社) |
Skype | × | (米国・Microsoftグループ) |
△ | (米国・Facebook, Inc.) | |
× | (米国・Facebook, Inc.の子会社) | |
Zoom | △ | (米国※・Zoom Video Comm.) |
▲ | (米国・Twitter, Inc.) | |
○ | (中国・テンセント) | |
KakaoTalk | △ | (韓国・Kakao Corp.) |
△ | (米国・WhatsApp Inc.) |
AppGalleryで対応しているアプリは少なめ。
けれども、公式サイトから APKファイルでインストール対応の可能なパターンが多め。
自動でアップデートはされないので、手動になり面倒ですが、なんとかなると思います。
また、LINE・カカオトークなどのメッセージアプリ以外は、ブラウザから使うのも一手です。
動画サービス
Youtube | ▲ | (米国・Google) |
Netflix | × | (米国・Netflix) |
U-NEXT | ○ | (日本・USEN-NEXT HOLDINGS) |
TSUTAYA DISCAS | × | (日本・CCC) |
Hulu | × | (日本・日本テレビ) |
FODプレミアム | × | (日本・フジサンケイグループ) |
Amazon Prime Video | ※ | (米国・Amazon) |
ブラウザからも使えるので、必ずしもアプリはいりません。
U-NEXTは、Huaweiとタイアップして、キャンペーンも行っているので快適です。
ちなみに、Amazon Prime Videoのアプリは、Amazonアプリストアからダウンロードで使えます。
カレンダー・タスク管理・メモ帳
Google カレンダー | × | (米国・Google) |
ジョルテ | ○ | (日本・株式会社ジョルテ) |
Lifebear | × | (日本・Lifebear, Inc.) |
Microsoft To Do | × | (米国・Microsoft) |
Trello | × | (米国・Trello, Inc.) |
Toggl | × | (エストニア・TogglOÜ) |
Time Crowd | × | (日本・タイムクラウド株式会社) |
Google Keep | × | (米国・Google) |
Evernote | × | (米国・Evernote Corp) |
Simplenote | × | (米国・Automattic) |
Google カレンダーのアプリはありませんが、ジョルテで同期しておけば OK。
カレンダーはなんとかなるものの、同期できるメモ帳アプリが少なく地味に不便です。
Web版にも対応している場合が多いので、他の端末と共有するにはデータが消えないように注意が必要。
クラウド・オンラインストレージ
Google Drive | × | (米国・Google) |
Microsoft OneDrive | × | (米国・Microsoft) |
Dropbox | ※ | (米国・Dropbox, Inc.) |
box | × | (米国・Box, Inc.) |
SugarSync | × | (米国・SugarSync, Inc.) |
Amazon Cloud Drive | ※ | (米国・Amazon) |
iCloud | × | (米国・Apple) |
Fileforce | × | (日本・ファイルフォース株式会社) |
メジャーなオンラインストレージは、ことごとく非対応になっています。
アプリがないと同期できず、毎回WEB版でダウンロードするのがストレスになります。
Microsoft Officeアプリがあるのに、OneDrive が使えないので作業効率がかなり落ちます。
Dropboxをよく使うなら、ソースネクストでDropbox Plus 3年版を買うとかなりお得です。
実は、AmazonアプリストアだとDropboxだけはインストールできるので、なんとか救いはあります。
IME
Google 日本語入力 | × | (米国・Google) |
Gboard | × | (米国・Google) |
ATOK | × | (日本・JustSystems) |
flick | × | (日本・IO Inc.) |
Simeji | ○ | (中国・Baidu) |
定番のGoogle 日本語入力には、やはり非対応。
実は、ATOKはAmazonアプリストアにならあります。
追加辞書の種類が少ないといった若干の制約ありますが、検討する価値はあると思います。
QRコード払い(PayPay)・金銭管理
PayPay | × | (日本・Softbankグループ) |
LINE Payアプリ | × | (日本・Softbankグループ) |
楽天ペイ | × | (日本・楽天) |
au PAY | × | (日本・KDDIグループ) |
d払い | × | (日本・NTTグループ) |
Alipay (支付宝) | ○ | (中国・アリババグループ) |
メインスマホとして使うのならば外せないのが、電子マネー機能や、○○Pay。
日々当たり前のように使っていると忘れがちですが、AppGalleryにはほぼ軒並みありません。
メルペイは、メルペイ払いが”高速アプリ”での対応なのでQRコードを表示させられず使えません。
QR コードを表示するだけなのに各社が非対応なのは、セキュリティの問題なのでしょうか。
タブレットで使う人はいないと思いますが、Huaweiスマホの購入時には気をつけてください。
2週間使い倒しての実感
[感想①]Google Playで購入した有料アプリが使えない
一番ショックだったのは、Android用に購入した有料アプリが使えなかったこと。
Google Play非対応なので当然なのですが、MatePad購入時には気づかずに後悔しました。
なんとか有料アプリがダウンロードできる場合でも、改めて買い直す必要があります。
Android用の有料アプリをたくさん持っている人は、後悔する可能性が高いと思います。
[感想②] Amazonアプリストアと併用すると便利
Amazonアプリストアは、Kindle向けのアプリストア。
実は、Androidベースのスマホ・タブレットなら、Kindleでなくても使えます。
APKファイル(Windowsでの.exeファイルのようなもの)でダウンロードでき、もちろん無料です。
AppGalleryにないアプリがAmazonアプリストアで見つかることも多く、結構感動しました。
[Line] ”Line”アプリそのものしか使えない
LINE アプリはダウンロードできるので、メッセージも通話も可能。
けれども、”LINE Pay”、”LINE Camera”、”LINEマンガ”などの周辺アプリがありません。
もちろん、”ツムツム”を始めとしたLine系のゲームアプリもAppGalleryにはありません。
また、EMUI(Huawei版のAndroid) 10だと、通知が来ない不具合もあり不完全な状態。
[動画] YouTubeくらいなら困らない
動画専用と割り切って使うのなら、十分使えます。
動作は軽快で、画面も綺麗でコスパがいいので、割り切れば不満は感じにくいはず。
Pro版はありませんが、MX Playerのような動画再生アプリ(無料版)はきちんと使えます。
[データ] クラウドストレージの同期が困る
タブレットは、PCで作業したちょっととしたデータにとても便利に使えますよね。
Amazonアプリストア(Dropbox)だけが、主要なストレージのうち唯一ダウンロード可。
とくに、Dropboxのヘビーユーザーの私にとって、Dropboxが使えるのは大切なポイント。
他のメジャーなクラウドストレージは軒並み非対応なので、Dropboxが唯一の頼りです。
(スマホで撮った写真を大画面で見るだけなら、Google PhotoのWEB版でも大丈夫ですよ)
[メール] Gmailが使えないのは致命的
Gmailアプリがないので、メールが来ても通知が来ません。
こればっかりはどうしようもなく、サードパーティのメールアプリを使うのを検討するのも一手。
ただし、セキュリティーに問題がありますし、Googleのセキュリティー設定が厳しくなるとブロックされることもあります。
総論:かなり使う人を選ぶ。正直、厳しい。
いろいろ書きましたが、Huaweiの端末は結構好きです。
一方で、日本でよく使われているアプリがAppGalleryに揃っているとは言えず、まだまだ発展途上。
何より使えるブラウザの種類すら少ないので、Huaweiをメインスマホとして使うのは厳しいと思います。
ハードウェア自体は他社を圧倒していると思うので、アメリカの制裁が早く解除されてほしいものです。
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